人間には「利き腕」や「利き足」があるように、私たちの脳にも“利き脳”があります。
利きは、1.無意識 2.疲れない3.成果をあげる の特徴を持っています。
利き脳の違いにより、思考特性(物事の捉え方や考え方)が人それぞれ異なり、表れる言動も異なります。「ハーマンモデル理論」は、この思考特性(利き脳)を可視化・数値化し、これまで漠然としていた個人の思考特性とさまざまな言動との関連性を定義づけました。
利き脳を理解することは、自分自身の思考特性を認識するだけでなく、他人の思考特性や言動を理解し、より創造的な生活をする助けになるのです。
米ゼネラル・エレクトリック社(GE社)で社員教育責任者であったネッド・ハーマン(Ned Herrmann)が、脳に関する2つの理論からハーマンモデルを構築しました。
一つは、ロジャー・スペリー(カリフォルニア工科大学教授・ノーベル賞受賞)によって証明された、右脳・左脳は互いに独立しており、異なった働きをしているという「右脳・左脳モデル」、もう一つは、ポール・マクリーン(アメリカ国立精神衛生研究所・脳進化と行動部門主任)によって明らかにされた、脳は進化の段階において3つの層からなり、それぞれの働きが異なるという「三位一体型脳モデル」です。
ネッド・ハーマンはこの2つの理論を組み合わせ、1977年に「ホールブレインモデル」(全脳モデル)を構築しました。
ハーマンモデルは現在までに、世界各国で200万人以上の利用実績があります。
優劣・正誤・良し悪しという評価ではない
効き脳は、あくまでも一人ひとりの思考特性(特徴)を示したものです。
「AタイプがBタイプより優れている」とか、「ABタイプ(二重優勢)の方がAタイプ(単独優勢)よりも能力的に優れている」ということはありません。形や面積の大小で優劣が示されるということはありません。
人間の血液型に優劣がないのと同じことだととらえてください。
思考特性は、一生変わらないものではない
私たちの脳はトレーニングによって、年齢に関わらずその能力は向上できることが分かっています。
ハーマンモデル理論では「先天3割 、後天7割」と言われており、環境やトレーニングによって利き脳も変化します。だからこそ、なりたい自分や相手との関係に近づくことができるのです。
■優先順位と行動特性 利き脳Aタイプは事実と論理を最優先
優先順位 | 好き・嫌い |
●事実と論理を最優先 ●ビジネスライクでドライ ●分析する、定量化する ●現実的 ●批判的 ●金銭感覚が鋭い ●因果関係の究明を好む ●Why(なぜ?)思考 ●口癖:どういうメリットがあるの | 【好き】 好きな言葉:論理、分析、数量的 整理整頓が好き 整合性や数字が好き 現実的で地に足がついたもの 【嫌い】 嫌いな言葉:矛盾した、感情的 複雑な人間関係理性をはずれた行動 Aタイプは「論理的人間」 論理の飛躍、根拠がない話 |
■優先順位と行動特性 利き脳Bタイプは計画とルールを最優先
優先順位 | 好き・嫌い |
●計画と秩序を最優先 ●ルール優先で頑固 ●手順を決める、組織する ●きちんとしている、信頼できる ●時間を守る ●計画的な、詳細な ●How(方法、やり方)思考 ●口癖:前例がない、ルール違反 | 【好き】 ●好きな言葉:計画的、予定通り ●ルールを決めてみんなで守る ●組織を作って行動する ●伝統や格式、出世が好き 【嫌い】 ●嫌いな言葉:不安定、だらしない ●リスク、突発的な事件 ●規則を破る、勝手な行動 ●伝統をないがしろにする |
■優先順位と行動特性 利き脳Cタイプは感情と人間関係を最優先
優先順位 | 好き・嫌い |
●人間関係を最優先 ●感情的で感性豊か、涙もろい ●対人関係的、人をサポートする ●包容力がある、やさしい ●他人の気持ちが分かる ●分かりやすい表現、話好き ●Who(誰が)思考 ●口癖:あの人は好き、嫌い | 【好き】 ●好きな言葉:いい人ね、好きよ ●仲好しとのおしゃべり、長電話 ●人を助ける、人を喜ばせる ●感動するもの 【嫌い】 ●嫌いな言葉:ドライ、理屈っぽい ●人間同士の葛藤、仲違い ●冷たい、非人間的 ●人を裏切る、気持ちに反すること |
■優先順位と行動特性 利き脳Dタイプは空想や楽しいことを最優先
優先順位 | 好き・嫌い |
●想像や好奇心を最優先 ●やんちゃ坊主、いたずらっ子 ●好奇心旺盛、驚きを好む ●山を張る、リスクを取る ●未来志向、くよくよしない ●What (目的)思考 ●口癖:なんとかなるさ | 【好き】 ●好きな言葉:挑戦、自由にどうぞ ●規則を破る、規則を気にしない ●楽しいこと、面白いこと ●ワクワクする、山が当たる 【嫌い】 ●嫌いな言葉:ルール、型にはめる ●批判される、強制される ●計画的、詳細な、片づける ●組織的、団体行動 |
■優先順位と行動特性 ABタイプは理性派、実務的で現実的
優先順位 | 好き・嫌い |
●実務的、現実的を優先 ●左モード、硬派(ハード) ●マネジャーに代表される特性 ●信頼できる ●予定通り進める ●論理的にきちんと解決する ●仕事ができると思われている ● Why&How ●口癖:なぜ予定通りいかないのか | 【好き】 ●好きな言葉:正確な、目標達成 ●ねらった通りに事が運ぶ ●目標を達成する ●信頼信用できる人と言われる 【嫌い】 ●嫌いな言葉:あいまい、中途半端 ●いいかげんな態度や仕事 ●だらしない、約束を守らない ●ブラックボックス、よく見えない |
■優先順位と行動特性 BCタイプは現実派、安定した仕事に向いている
優先順位 | 好き・嫌い |
●伝統の安定性と人を優先· ●下モード、現実派· ●サービス精神に富む ●社員、顧客、地域社会に関心 ●会社と個人に正しいことを重視· ●現状維持を好む ●会社と個人に正しいことを重視 ●現状肯定型と思われている ●HOW&WHO思考 ●口癖:昨日と同じでよかった | 【好き】 ●好きな言葉:忠誠心、安定性 ●決められた仕事を共同でやる· ●計画された旅行に友達と行く ●ボランテイア活動 【嫌い】 ●嫌いな言葉:現状打破 ●生産性重視を好まない ●現状破壊、変化する社会 ·●ルール違反でお金儲け |
■優先順位と行動特性 CDタイプは感性派、人間関係の仕事に向いている
優先順位 | 好き・嫌い |
●自由裁量権を優先 ●右モード、軟派(ソフト) ●サービス精神が旺盛 ●職場の活性化に高い興味 ●人に気を遣い、心を開く ●自主的に参加する ●接しやすい人と思われている ●What &Who ●口癖:あの人はいい人ね | 【好き】 ●好きな言葉:思い通りにどうぞ ●自由裁量権がある ●サービス業的な仕事 ●創意工夫して進める 【嫌い】 ●嫌いな言葉:堅苦しい、正確性 ●細かい仕事を正確にすること ●理屈っぽく堅苦しいこと ●決められた通りきちんとやる |
■優先順位と行動特性 ADタイプは知性派、研究者に向いている
優先順位 | 好き・嫌い |
●技術的、実践的を優先 ●上モード、知性派、研究者向き ●仕事や研究に没頭 ●仕事の達成感で満足を得る ●対人関係には無頓着 ●仕事熱心と思われている ●Why & What ●口癖:何か打開築があるはずだ | 【好き】 ●好きな言葉:いい仕事してますね ●斬新性、画期的、発明、未来志向 ●知的活動、学習、情報収集 ●バズル 【嫌い】 ●嫌いな言葉:マンネリ化 ●標準化された繰り返しの仕事 ●変化がない、昨日と同じ ●過去の伝統や形式にこだわる |
■優先順位と行動特性 ACタイプは論理と感情の間で悩むハムレット
優先順位 | 好き・嫌い |
●論理的、人間的を優先 ●道理と人情のはざまで悩む ●ビジネスライクだが、人間的 ●二重人格に誤解されやすい ●二者択一で悩むことが多い ●頼りになる世話役 ●心やさしい堅実派 ●Why&Who ●口癖:道理か、人情か? | 【好き】 ●好きな言葉:人と科学の融合 ●整理整頓、整合性や数字が好き ●おしゃべり、感動が好き ●人を喜ばせる 【嫌い】 ●嫌いな言葉:矛盾した、冷酷な ●論理の飛躍、根拠のない話 ●人を裏切る、気持ちに反すること ●ルールに縛られる |
■優先順位と行動特性 BDタイプはしがらみと自由奔放の間で悩むやんちゃな堅物
優先順位 | 好き・嫌い |
●ルールと自由のはざまで悩む ●お堅いが時に柔軟性を見せる ●二重人格に誤解されやすい ●二者択一で悩むことが多い ●変人だが、組織でも上手くやる ●目的と手段を混同しやすい ● How&What ●口癖:前例を踏まえて改革だ | 【好き】 ●好きな言葉:計画的、挑戦 ●ルールの中で自由奔放にやる ●組織を改革する ●組織を自分の自由に動かしたい 【嫌い】 ●嫌いな言葉:感情的、 ルール無視 ●規則を破る、勝手な行動 ●ルールにないことを強要される ●批判される、束縛される |
■優先順位と行動特性 BCDタイプの弱点は論理力の弱さだけ(Aが弱い)
優先順位 | 好き・嫌い |
●理屈っぽいAタイプが苦手 ●ルールを守る、組織を守る ●きちんとしている、信頼できる ●人間関係を大切にする ●感性豊か、包容力がある、やさしい ●想像力が強い ●好奇心旺盛、驚きを好む ●直観的、統合的、合成的 ●リスクを取る、未来志向 | 【好き】 ●人と関わること、組織活動 ●ルールの中で自由に飛び回る ●人を助ける、ボランティア ●ワクワクすること、変化を楽しむ 【嫌い】 ●ドライ、理屈っぽい ●ビジネスライク、クール ●人を裏切る、気持ちに反すること ●Why?を連発される |
■優先順位と行動特性 ACDタイプの弱点は社会性の弱さだけ(Bが弱い)
優先順位 | 好き・嫌い |
●ルール重視のBタイプが苦手 ●論理的で現実的、数字に強い ●分析や定量化が得意 ●人間関係を大切にする ●対人関係的で人をサポートする ●包容力がある、やさしい ●好奇心旺盛、驚きを好む ●直観的、統合的、合成的 ●未来志向、くよくよしない | 【好き】 ●論理や数字に関わること ●分析や原因究明、事実重視 ●人を助ける、ボランティア ●ワクワクすること、変化を楽しむ 【嫌い】 ●ルール優先、型にはめる ●批判される、強制される ●計画的、詳細な、片づける ●組織的、団体行動 |
■優先順位と行動特性 ABDタイプの弱点は人間味の乏しさだけ(Cが弱い)
優先順位 | 好き・嫌い |
●人間重視のCタイプが苦手 ●論理的で現実的、数字に強い ●分析や定量化が得意 ●ルールを守る、組織を守る ●きちんとしている、信頼できる ●ルールの中で自由に動き回る ●好奇心旺盛、驚きを好む ●直観的、統合的、合成的 ●未来志向、くよくよしない | 【好き】 ●論理、分析、数量的なこと ●計画的、予定通り ●ルールを守る、出世する ●楽しいこと、面白いこと 【嫌い】 ●矛盾した、感情的、ボランティア ●複雑な人間関係 ●理性をはずれた行動 ●論理の飛躍、根拠のない話 |
■優先順位と行動特性 ABCタイプの弱点は発想力の弱さだけ(Dが弱い)
優先順位 | 好き・嫌い |
●自由奔放なDタイプが苦手 ●論理的で現実的、 数字に強い ●分析や定量化が得意 ●批判的、金銭感覚が鋭い ●ルールを守る、組織を守る ●きちんとしている、信頼できる ●人間関係を大切にする ●感性豊か、包容力がある、やさしい ●想像力や好奇心に乏しい | 【好き】 ●きちんとしている、人情深い ●現実的で地に足がついたもの ●組織で行動、計画通り ●人を助ける、人を喜ばせる 【嫌い】 ●嫌いな言葉:不安定、だらしない ●リスク、突発的な事件 ●規則を破る、勝手な行動 ●伝統をないがしろにする |
■優先順位と行動特性 ABCDタイプはバランス型の全脳タイプ
優先順位 | 好き・嫌い |
●すべての利き脳にアクセスできる ●時には冷酷、時には温情的 ●リーダーにふさわしい人 ●幅広い人から信任が厚い ●時に八方美人と誤解される ●そつがないと思われている ●中立的でバランス型思考 ●口癖:ケースバイケース | 【好き】 ●好きな言葉:温故知新、バランス ●伝統を重んじながら革新する ●一丸となって目標を達成する ●リーダー的役割 【嫌い】 ●嫌いな言葉:アンバランス ●偏った見方 ●暴走、独裁的な他人の行動 ●創造なき破壊 |
視覚を優先しているときは、「頭の中で映像としてイメージを描く傾向」があります。そのため、話す言葉には「見る」「想像する」といった映像的な言葉が多く、まるでそれを見ているように伝えます。
話し方は「早口でテンポがよく、話題が飛びやすい傾向」があります。頭の中で映像が次々と浮かび上がり、自分に「見えて」いるものを言葉で伝えようとすると、早口になるのです。
【特徴】 ・グラフやイラスト、図などの視覚的表現が得意 ・モノを記憶するときは、絵にして覚える ・外見に心を動かされやすい ・結果が見えないと、やる気が起こらない。 ・効果的であることが好き。違いを目の当たりにしたい |
聴覚優位の最大の特徴は「言葉として聞いたことを優先する」こと。「人の話を聞く」能力に長けているため、比較的コミュニケーションは得意ですが、「話の矛盾点や、言葉の意味・言い回しがきになったりと、ダイレクトに言葉に反応してしまう傾向」があります。
【特徴】 ・声の調子や言葉に反応しやすい ・自問自答し、独り言を言う ・聞いて学習することが得意 ・音楽を聴いたり、電話で話したりすることが好き ・音に敏感 |
「身体全体を通した「感じ」で物事を捉える傾向」があります。
言語化するとき「~な感じがする」問う言葉が頻繁に出てきます。
自分の身体と対話をするかのように、自分の中でシミュレーションをします。そのため、判断や返答はワンテンポ遅くなりがちです。話し方もゆっくりだったり、行動や反応も、やや遅れたりしがちです。決して鈍いわけではなく、理解から言語化までのプロセスに時間がかかるだけで身体感覚によってたくさん情報を一瞬のうちに手に入れることができる。
【特徴】 ・感じながら話すため、話すテンポは遅い ・声のトーンは低めで落ち着いている ・居心地の良さが大事 ・一つのことをじっくり味わうのが好き ・相手にふれることができる距離に近づいて話をしたい |