毎年頼むのは、毎年ゼロに戻るから
研修を外部に頼むこと自体に問題はありません。専門的な内容は、外から持ってきたほうが早い。
問題は、来年も同じテーマを、また外から買っている場合です。それは去年の研修が社内に残らなかったということです。残っていれば、来年は社内の誰かが伝えられるはずだからです。
毎年の研修費が固定費のように積み上がっている会社は、たいていここでつまずいています。買っているのは知識ではなく、その日一日の場です。
しかも毎年講師が変わると、使う言葉も少しずつ変わります。去年は「傾聴」、今年は「アクティブリスニング」。中身は近くても、社内では別のものとして扱われます。積み上がらない理由の一つがこれです。
残るのは、言葉と型
社内に残るものは、感動でも気づきでもありません。共通の言葉と、共通の型です。
たとえば「この件は、何が分かれば決めていいことにしますか」という一言が、社内の標準になっているとします。誰が会議を仕切っても同じ問いが出る。これは研修が残った状態です。
逆に、研修中は盛り上がったが翌月には誰も口にしない言葉があるなら、それは残らなかったということです。
残ったかどうかは、意外と簡単に見分けられます。研修を受けていない新入社員に、周りが自然とその言葉を使って説明しているかどうか。使っていれば、それはもう社内の言葉です。
買っているのは知識ではなく、その日一日の場かもしれません。
2年かかる理由
内製化には時間がかかります。半年では足りません。
1年目は、社内に共通の言葉を入れる期間です。全員が同じ枠組みで話せるようになるまで、繰り返し使う場面をつくります。ここを飛ばすと、言葉だけ知っていて使えない状態になります。
2年目は、それを社内の人が教えられるようにする期間です。教える側に回った瞬間に、その人の理解は一段深くなります。人に説明できないことは、自分でも分かっていない。教えることは、いちばん確実な定着の方法です。
この2年を飛ばして「来月から社内でやってください」と渡しても、たいてい止まります。教えられる人が育っていないからです。
逆にこの2年を通せば、3年目からの研修費は大きく下がります。外から買うのは、新しいテーマのときだけになるからです。
外注をやめる話ではない
誤解のないように付け加えると、内製化は「外部を使わなくなること」ではありません。
内製化した会社ほど、外部の使い方が上手になります。何を自社でやれて、何をやれないかがはっきりするからです。基礎は社内で回し、新しい領域や、社内の人間では言いにくいことだけを外に頼む。
外注が減るのではなく、外注が効くようになる。それが内製化の実利です。
自社で確かめられること
過去3年の研修費を並べて、テーマを見比べてみてください。
同じテーマが2回以上出てきているなら、それは「定着しなかったので買い直した」記録です。金額そのものより、そちらのほうが重い情報です。